定年退職後は扶養に入るべき?健康保険の選択肢について解説

保険

定年後は勤務先で加入していた健康保険を脱退し、他の健康保険へ切り替えをしなくてはなりません。
日本は国民全員が健康保険に加入する国民皆保険制度のある国です。
さまざまな種類の健康保険がある中で、どれにしようか悩みますよね。

自分に合った健康保険は何だろう。
誰でも簡単に加入できるのだろうか。
できたら、今までと同じ保険サービスを受けたい。

そんな疑問はあらかじめしっかり解決しておき、定年に備えておきましょう。
今回は、定年退職後の健康保険についてお話します。

加入条件や健康保険内容の特徴、加入することによるメリット・デメリットはそれぞれ異なります。
ひとつひとつ内容をしっかり確認し、自分に合ったものを見つけましょう。

定年退職すると、健康保険を考え直す必要がある

会社員のほとんどは、協会けんぽや健康保険組合の健康保険に加入しています。
しかし、長年勤めてきた会社を定年退職する際に、加入していた健康保険は外れることになります。
75歳になると後期高齢者医療制度の対象になりますが、それまでの間は何かしらの形で健康保険に加入しておく必要があるのです。

年齢とともに、ケガや病気のリスクは上昇するもの。
もし、健康保険に加入していていないと、病院などでの医療費が全額負担になるだけでなく、高額療養制度の利用もできません。
たとえひと月に自己負担した医療費が上限を超えても、健康保険に加入していないと超えた分の払い戻しがされることはありません。

そのため、定年後も健康保険の加入が途切れないようにすることが重要なのです。

日本は国民皆保険制度

日本には、年齢にかかわらず健康保険に加入しなくてはいけない国民皆保険制度です。

【国民皆保険制度の特徴】

  • 国民全員を公的医療保険で保障
  • 医療機関を自由に選べる
  • 安い費用で高度な医療
  • 社会保険方式を基本としつつ、皆保険を維持するために公費を投入

自己負担医療や上限はあるものの、全国民が2~3割の負担で医療が受けられるようになっています。

扶養に入るのもあり?定年後の健康保険は4つの選択肢がある

定年退職後、健康保険には4つの選択肢があり、いずれかに加入する必要があります。
なかには定年前と同じような制度の健康保険もあり、人間ドックの無料診断などのサービスがついているものもあります。
それぞれ加入条件やメリット・デメリットが異なりますので、自分に合ったものを選びましょう。

健康保険を任意継続する

定年前に加入していた健康保険を引き続き加入できる制度です。
今までと変わらない内容なので、定年前と同じサービスが受けられ、家族を扶養に入れることができます。

ただし、退職してから最長で2年しか加入できないというデメリットがあります。
そのため、定年してから75歳までの間すべての期間で加入することはできないのです。

また、この制度を利用するには、勤務期間が退職日までの2ヶ月以上であることが条件になり、退職してから20日以内に手続きをしなくてはなりません。

保険料については定年前は会社と被保険者が折半していたため、任意継続した際は全額自己負担になります。
そのため今までの保険料の2倍を支払うことになるため、人によっては高額になってしまうケースもあるでしょう。

ただ、定年前と同じサービス内容で家族を扶養に入れられる点は大きなメリットなので、どの健康保険にするか悩んでいる人はひとまず任意継続しておくのもおすすめです。

特例退職被保険者制度を利用する

特例退職被保険者制度は、主に大企業の健康組合が退職者向けに運営している制度です。
加入すると、75歳の後期高齢者医療制度が開始されるまで、定年前と同じ健康保険を継続できます。
家族を扶養に入れることもできるので、2年間という制限付きの任意継続よりメリットは大きいといえるでしょう。

ただし、この制度を利用できる健康保険は非常に少ないのが難点です。
加入できる条件は組合によってさまざまですが、ほとんどの場合が健康保険組合に20年以上加入しており、老年厚生年金の受給資格があることが条件となっています。

国民健康保険に加入する

国民健康保険は主に自営業やフリーランスが加入する健康保険で、自治体や市町村が共同で運営をしています。
加入条件が一切なく、収入に応じて保険料が変わるので独身や収入が年金のみの場合は保険料の負担が安くなるのがメリットです。
定年退職をして加入資格を喪失してから14日以内に役所で手続きをすれば、誰でも加入することができます。

ただし、他の健康保険のような扶養という仕組みがないため、家族を扶養に入れることはできません
それまで扶養に入っていた家族全員がそれぞれ国民健康保険に加入し、全員分の保険料を負担する必要があるのです。
また、健康保険のサービスや付加給付は利用できません。

扶養に入れたい家族がいる場合は保険料が高額になってしまうため、自分ひとりだけが加入したいという方におすすめです。

扶養家族として入る家族の健康保険組合に加入する

配偶者や子どもの健康保険に、扶養家族として加入することもできます。
その際は保険料を負担をする必要がなく、サービスは定年前と同じものが受けらます。

しかし、他の健康保険に比べて加入条件が厳しく、当てはまらないケースが多いのが難点です。

加入先の健康保険によってことなりますが、まず被扶養者は75歳未満の3親等以内の家族であること、被保険者に生計が維持されていることが条件です。
離れて暮らしていても、仕送り等がある場合は「生計が維持されている」に該当します。

他にも年収制限があり、金額が条件未満の年収かつ被保険者の半分などが定められています。
被扶養者の収入は年金も含まれるため、非常に厳しい条件になる人がほとんどです。
そのため、定年後にも働きたい人や不動産などの収入がある人、年金受給額が多い人は加入することが難しいでしょう。

以下では、協会けんぽの扶養条件を紹介します。

【協会けんぽの場合】

  • 被保険者と同一世帯に属している場合…年収180万円未満かつ被保険者の収入の半分以下
  • 被保険者と同一世帯に属していない場合…年収180万円未満かつ収入が被保険者から援助されている金額よりも少ない

これら所定の条件を満たすことで家族の健康保険に扶養者として加入でき、保険料の負担なく定年前と同じサービスが受けられます。
加入条件ななかなか厳しいですがメリットは非常に大きいので、まずは検討してみましょう。

扶養に入るには年収制限などに条件に注意

配偶者や子どもの扶養に入ることでさまざまなメリットがあり、他の健康保険に比べてとても魅力的な内容です。
しかし、扶養に入るにはさまざまな条件があり注意が必要です。

  • 配偶者や子どもの扶養に入ることはできるが、条件が厳しく入れないケースが多い
  • 年収には年金や家族からの仕送りも含まれる
  • 年収は180万円未満かつ被保険者の収入の半分以下(協会けんぽの場合)
  • 加入先によって条件が異なるのでしっかり確認する

なお、健康保険は退職後に自動で切り替わらないので、自分で手続きをしなくてはなりません。
ほとんどが加入条件として手続きの期日が決められているので、早め早めの行動を心がけましょう。

慌てないためにも、事前に定年後の保険について考えておくことが大切です。
保険の専門家に相談をしたり、定年後の収入について考えたりと、あらかじめ自身の老後について考えておきましょう。

ぜひ、この記事を参考に、自分に合った健康保険を見つけてくださいね。

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