医療保険って高齢者も入った方がおトクなの?必要性があるのか徹底解剖

保険

病気やケガによる収入の減少に備えて、医療保険に入る働き盛り世代は多くいますが、定年後のシニア世代にも必要なのでしょうか?
今回は高齢者にとっての医療保険の必要性についてお話します。
老後の医療費は公的医療保険でカバーされ、高額な医療費には高額療養費制度が適用されます。
民間の医療保険との違いや、入った方がいいケースなど詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

医療保険に入るor貯蓄にまわす?どちらがおトク?

公的医療保険は医療費の負担額は3割で、定年後はいずれかの公的医療保険に加入することになります。
基本的には民間の医療保険に入っていなくても、シニア世代の医療保障はあるのです。

そのため、老後に医療保険は不要といわれており、その分を保険料を貯蓄に回した方がおトクなのでは?と思う方も少なくありません。
では、保険に入るメリットは何でしょうか?

定年後、怪我や病気のリスクが上昇

高齢者は働き盛りの世代に比べ、ケガや病気にかかるリスクが高いといわれています。
厚生労働省発表の「平成29年患者調査の概況(受療率)」では、年齢と共に受療率が上がることがデータとして記されています。

特に70代・80代が多く、外来は40代の約3倍以上、入院は約4倍以上になり、その数は全体を通してピークにあたります。
また、回復力も低下するため、治療機関や入院期間が長期に及ぶことが多いのも主な原因です。

75歳以上は高齢者医療制度で自己負担額が減少

高齢者医療制度はすべての人が加入する公的医療制度です。
60代までは医療保険の負担額は3割ですが、70歳を過ぎると2割負担、75歳以上で高齢者医療制度が適用になり1割負担になります。
年齢と共に負担額が減少していく仕組みになっており、ひと月あたりの限度額はあるものの、100万円の医療費がかかっても負担額は10万円未満で済むので、万が一のときでも安心の制度です。

ただし、2022年10月からは年金の他に一定の所得がある人は、その所得額に応じて負担額が1~2割になります。

自由診療は自己負担

自由診療とは、公的医療保険が適用されない診療のことです。
公的医療保険は医療費の7~9割を公的に負担してくれますが、それ以外の自由診療は対象外となるため、自分で全額負担しなくてはなりません。

負担項目は以下の通りです。

  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事
  • 日用品代
  • 通院に伴う交通費
  • 不足した分の収入  など

この項目は公的医療保険の適用外のため、全額自己負担となります。
この自己負担額は生命保険文化センターが行った「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、入院1回につき平均20.8万円になり、1日に換算すると平均2万3,300円になることがわかっています。

上記以外にも、日本非認証の抗がん剤や放射線治療、免疫治療など医療保険対象外のものもあり、治療法によっては医療費が高額になりやすいのが難点です。

医療保険に入る必要がある人・ない人

基本的に手厚い保障の医療制度があるため、万が一のときでも範囲内であれば大きな費用はかかりません。
また、高齢者が医療保険に加入すると保険料を決めるための「予定死亡率」が高くなるため、他の世代よりも保険料が高くなってしまいます。

状況によっては加入しない方が得をする人もいますが、入った方が安心できるケースもあります。
どういった場合に必要か、必要じゃない状況とあわせて紹介します。

貯蓄が十分ある人は医療保険に入らなくても

民間の医療保険は、公的ではまかなえない部分をカバーするためのものです。
そのため、毎月の保険料を払うよりも、貯蓄で負担分をカバーした方がお得になるケースもあります。

あくまで、医療保険は万が一の時に備えておくもの。
いくら年齢によって病気やケガのリスクが上がるといっても、必ず保険を使う機会があるとは限りません。
貯蓄がない人にとっては安心できる保険でも、貯蓄が十分あれば毎月高額な医療保険を払い続けるより、貯蓄でカバーした方がトータル的にお得になるのです。

公的医療保険の保障だけでも十分手厚いので、医療費が高額にならないことがほとんどです。
他にも、不動産収入や事業収入など老後も定期的な収入があり、万が一のときも日々の年金生活に影響しないようであれば、医療保険に入る必要はないといえるでしょう。

年金生活の人は医療保険に入った方が安心

「医療費を用意しておくのは難しい」
「年金だけでは生活費が足りず、貯蓄を切り崩しながら生活している」
そういった人は、民間の医療保険に入っておいた方が安心です。

2019年総務省発表の「家計調査報告書」によると、年金だけでは生活できず毎月3万円ほど赤字になる世帯が多いことがわかっています。
「国民生活基礎調査」でも、年金だけで生活できている人は48.4%と、半数を下回っている結果です。

特に、フリーランスや自営業で働いていた人は、会社員として勤めていた人よりも年金受給額は少なくなります。
そのため、医療費が発生してしまうと、老後の生活を圧迫する恐れがあります。

退職金も年々減少しており、老後に十分な貯蓄がある人という人は多くありません。
そういった場合は、あらかじめ医療保険に加入して備えておきましょう。

公的医療保険制度をしっかり確認し、足りないところをカバーできる保険を選ぼう

60歳以降に加入する公的医療保険制度は以下の通りです。

  • 国民健康保険に加入する
  • 退職前の健康保険を任意継続して被保険者になる
  • 家族の健康保険の被扶養者になる

これに加えて、75歳以上には高齢者医療制度が加わるので、制度をしっかり確認して足りないところがないか確認しましょう。
がん保険や三大疾病など、家族の罹患歴も考慮するのが重要です。

何が足りないのかは人それぞれで、ライフスタイルや貯蓄額を含めて足りないところをカバーできる医療保険を選ぶのがポイントになります。
特に老後の医療保険は高額になるので、自分にとって必要最低限の保険を選ぶようにしましょう。

万が一に備えて、民間医療保険に加入も考えておこう

医療保険は高齢になればなるほど、保険料が高額になっていきます。
また、ケガや病気になってからでは入れる保険はほとんどなく、加入できない可能性が出てきます。

人生100年時代といわれる長い老後生活を守るためにも、医療保険制度を把握しておくことはとても大切です。
年金を受け取れるのは65歳からなので、60歳の定年後は基本5年間の無収入状態になります。
それに合わせて老後も働いたり、年金を繰上げ受給または繰下げ受給するなど、さまざまな対策が講じられますが、それに伴って公的医療保険の自己負担額が上がってしまうデメリットもあります。

そのため、老後の資金に関しては早い段階から慎重に考えておくことを心がけましょう。
ケガや病気のときは貯蓄でカバーできるのか、どのくらいまでならカバーできるのか、老後の生活にかかる費用などを確認し、民間医療保険の加入も検討しておくといいでしょう。

どのような保険があるのか、自分にあったものは何かわからない時は、一度保険相談をするのもおすすめです。
万が一に備えて、安心できるシニアライフを過ごしましょう。

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