物価高で年金じゃ足りない?現状と対策について

お金の問題

現在、日本は物価上昇が続いており、多くの方が日常生活に支障をきたすようになっています。特に年金受給を受けている高齢者は、現役世代以上に大きな影響を受けてしまっているのです。

年金ではこの物価高の中をこれまで通り生活していくことはできず、多くの方が節約を始めています。中には生活困窮が理由で、犯罪に手を染めてしまう方まで現れているのです。

この記事では、物価高となった主な商品や老齢年金受給額、高齢者が現在の物価高に受ける影響などをご紹介します。現在、年金の貰っている方だけではなく、将来年金を貰うようになったときのために、知っておくようにしましょう。

世界情勢や円安の影響で物価高に…

円安の進行やロシアによるウクライナへの侵攻などの影響で、物価高になり私たちの生活に影響を及ぼしています。

今年に入って数え切れないほどのものが値上がりしています。光熱費を始め値上がりした主なものを以下にまとめました。光熱費の値上げは、標準家庭における値上げ額です。

  • 東京電力:3月283円、4月115円、5月146円、6月60円、7月306円、8月247円、9月8円と計7回で総額1165円の値上げ
  • 東京ガス:3月222円、4月83円、5月90円、6月24円、7月78円、10月289円、11月286円と計7回で総額1072円の値上げ
  • マクドナルド:ハンバーガーが110円から2回値上げして150円になり40円の値上げ
  • うまい棒:10円から12円となり2円の値上げ
  • キッコーマン「デルモンテトマトケチャップ」:245円から292円(来年3月予定)になり47円の値上げ
  • カップヌードル:208円から231円になり23円の値上げ

値上げをしていなくても、価格据え置きで容量を減らして実質値上げとなっている商品も多数あります。

値上げの中でも目立つものは、電気代やガス代などの光熱費です。毎月のように値上げをしており、前年同月に比べると電気代もガス代も約20%も値上がりしています。

節約を意識する人が増加

これだけ物価高が続くと、節約を意識する人が増加してきています。

節約意識に関するアンケート調査によると、節約を常に意識している方が35.8%、やや意識している方が51.9%と合計で90%近くの方が節約を意識しているという結果になっていました。

実際に節約している分野の調査結果は、「食品77.8%」「日用品54.5%」「外食・テイクアウト47.5%」の順になっています。

また、実際に実践している節約術については、無駄な買い物をやめる、ポイントを利用する、クーポンを利用するなどです。必要な買い物だけをするようにしただけではなく、ポイントやクーポンを使って上手に買い物をしようとしている方が多いようです。

節約したくない分野については、「教育」が最も多い結果でした。物価高で節約をしなければいけなくても、子供の将来のために教育費だけは節約したくない、と考えている方が半数以上いたということです。

出典:総務省2020年基準 消費者物価指数全国2022年(令和4年)7月分

株式会社ロコガイド「節約意識に関するアンケート調査」

年金受給額がかわらないと生活が大変!

年金受給額がわからないと、どのぐらい節約をすれば生活していけるのかがわかりません。そのため、まず今後どのぐらい年金を貰えるのか知っておく必要があります

年金は、全国民共通の老齢基礎年金と、厚生年金加入者だけに支給される老齢厚生年金の2種類です。老齢基礎年金の受給額は年収に関係なく年金を納めた年月によって決まり、老齢厚生年金の受給額は年収によって変わります。

支給額は、老齢基礎年金はやや増加傾向ですが、老齢厚生年金は減少傾向です。令和元年度の老齢年金の平均支給額(月額)は、老齢基礎年金:5万6,049円、老齢厚生年金:14万6,162円となっています。例えば、妻が老齢基礎年金だけで夫が老齢厚生年金の平均額を貰っている夫婦の場合は、合計受給額が20万2,211円になります。夫婦ともに老齢基礎年金だけの場合は、合計で11万2,098円しか貰えません。

高齢者ほど物価高によるインパクトが大きい

2022年4月における物価上昇率のうち大きなものからあげると、「光熱・水道」「食料」「家具・家事用品」の順となっています。特に「光熱・水道」の上昇率は、15.7%アップと他の項目に比べると非常に大きい物価上昇率です。

消費動向は、年代によって異なります。総務省統計局が発表した消費者物価指数によると、若い現役世代に比べると高齢者は食料や住居、光熱・水道が占める割合が大きいです。その理由は、収入の多少にかかわらず食糧費や光熱・水道などは一定額かかるため、収入が現役世代に比べると少ない高齢者にとって大きな割合を占めることになるからです。そのため、現在の物価高によるインパクトは、高齢者ほど大きいと考えられます。

出典:「総務省統計局 2020年基準消費者物価指数」

無理して節約しすぎは禁物!

年金受給額が変わらないのに、物価高が続くとどこかで節約しないと生活が厳しくなる方もいるでしょう。しかし、無理して節約しすぎには注意してください。節約したために、体調を崩してしまったり、大きな出費をすることになってしまったりする可能性があります。

まず、高齢者は真夏の冷房代や真冬の暖房代の節約しすぎには注意してください。真夏は冷房を適度に利用しないと、部屋で過ごしていたとしても熱中症になってしまう可能性があります。特に高齢者は、温度に対する感覚が弱くなるため、熱中症になりやすいと考えられているので要注意です。人間は暑いと感じたら、自律的に体内から熱を逃がすために、血流量と汗の量が増えます。しかし、歳をとるにしたがい体内の熱を外に逃がす能力が低下し、深部体温が上昇しやすくなってしまうのです。また、温度に対する感覚が鈍くなっており、暑さや喉の渇きを感じにくくなったりしているために、気づいたら熱中症になっていたというケースもあります。

暖房の節約についても温度に対する感覚が弱くなっている高齢者は、注意しなければいけません。暖房を節約しすぎると、気づいたら低体温症になっていた、手足の冷えが消えずに眠れなくなったなどが起こる可能性があります。また、冬は血圧が上がりやすい季節です。高血圧の持病を持っている高齢者は特に注意してください。

高齢者は、食費や医療費についても節約しすぎないように気をつけましょう。低栄養による筋力低下から、要介護状態になってしまう可能性があります。もし、節約をしたために体調を崩してしまったら、節約した以上に医療費がかかってしまい、結局出費が増えてしまったということも起こり得ます。

高齢者におすすめの節約は、電話料金や光熱費の契約する会社やプランを見直すことです。プランを見直すだけで、大幅な節約ができるケースもあります。

また、無理な節約をするよりも、資金運用などにより収入を増やす方法を考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

物価高となった主な商品や老齢年金受給額、高齢者が現在の物価高に受ける影響などをご紹介しました。ロシアによるウクライナ侵攻や急激な円安などによって生じた国内の物価高は、私たちの日常生活にまで影響を及ぼすようになってしまっているのです。現在の物価高は、年金受給者ほどインパクトが大きく苦しい状況になっています。そのため、高齢者でも節約を意識している方が増えていますが、無理な節約はかえって逆効果になってしまう可能性があるため、注意が必要です。

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